えすこなすくらっぷ

えすこなの記憶の切り抜きノートであり、廃棄同然の記録の集積所。

150801-2 したきりすずめ

むかしむかしある所に、ひとりのネカマが居ました。

ネカマは働きもせず、インターネット上で若い女のふりをして、男に媚び、食べ物や漫画やゲームを貢いでもらい生活をするという、最低な男でした。

ある時、ちょっとしたいたずら心がわき、貢いでくれる男のひとりに正体をバラしてびっくりさせてやろうと、ネカマは思いました。

早速ネカマは、男に「ふたりきりでオフ会をしよう」と誘いました。

すると、承諾の返事が光のごとく返って来ました。意中の人からこんなお誘いが来たら当然です。

いよいよオフ会の時が来ました。

場所は街一番とも言える格式高い懐石料理店です。

ネカマの「和食が食べたい気分。落ち着いて食べたいから、個室があるといいな」という希望に、男は良いところを見せようと、見栄を張って、無理をして、ここを選びました。

男が先に到着し、お座敷で正座して待っています。

集合時間の1時間前からずっとこの体勢です。

優秀な成績を収めたこともある剣道の腕前をアピールするため、竹刀を持ち込んでしまうぐらい緊張して、わけがわからなくなっています。

集合時間になりました。

男は障子の向こうから、足音が聞こえてくることに気付きました。

ギシッ……ギシッ……

男は、最初ネカマが来たのかと思いましたが、足音が妙に力強い男のものであることに気付き、他の客が用を足しにでも通ったのだろうと思いました。

ギシッ……ギシッ……

足音は近づいてきます。そして、男がいる座敷の前で止まったことに影で気付きました。

「男さんですか?」

障子の向こうから、野太い声が飛んできました。

「は、はい。そうですが」

男は、誰だろうか?ネカマに何かあって遅れる旨を伝えに店の者がやってきたのだろうか?と思いました。

「実は男さんに悲しいお知らせがあります」

障子を隔てて、また野太い声が聞こえてきます。

「なんですか!? ネカマさんに何かあったのですか!?」

男は、ネカマが事故にでも遭ってここに来られなくなったのではないか、と心配して、焦って早口になってしまいました。

「実は……」

なにやらカチャカチャという、軽い金属がぶつかるような音がかすかに聴こえてきますが、男はそんなことに気にかけている余裕はありません。

「実は?」

ズボォッ!

奇妙な音と共に、棒状の何かが障子から突き出てきました。

「私がネカマで〜〜〜〜す!!!」

「…………!?」

男は、とっさのことで頭が真っ白になってしまいました。ただ障子から生えてきた何かを見ることしかできません。

色は赤とも茶とも黒とも断言できず、ボコボコとした形状で、硬いとも柔らかいとも断言できないもの。

そして似たようなものを自分は知っている、持っている。

時間が経つと、男は少しずつわかってきました。

障子越しに会話した野太い声の持ち主が、自分が今日会う予定だったネカマであること。

つまり女だと思い接してきた相手が、実は男であり、今まで騙されていたこと。

そして、その相手が己の陰茎を露出させ障子に突き刺すような性壁があり、あまつさえそれを怒張させるようなとてつもない変態だったこと。

男は、今まで騙されていたのだという哀しみと、こんな変態に入れ込んでしまったのかという情けなさから涙が止まらなくなってしまいました。

「うぅ、ちくしょう……そんな……あああああ!!!」

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男は激情から、持参した竹刀をネカマの陰茎に叩きつけたのです。

これには懐石料理店の店主もびっくり

その後、ネカマは病院に運ばれましたが、陰茎は既に潰れているため、睾丸と併せて切除。ネットオカマから真のオカマになりました。

ネットでは正体をバラされてしまい、かつてのように貢いでもらえなくなってしまいました。

仕方無しに働き始めましたが、今までろくに働いたことがないのでまともな職に就けず、おまけに元来の性格が災いし、雀の涙ほどしか収入を得ることができなかったとさ。